車営業の面白いところPART 1

営業スキル

車の営業は、一見同じ「車を売る」という行為を繰り返しているように見えますが、実際にはそのアプローチや商談の進め方が顧客ごとに異なり、そこがこの仕事の面白さでもあります。同じ車を販売していても、顧客のニーズや状況によって、必要なスキルや対応が大きく変わるのです。今回は、そんな車の営業の「面白いところ」を2つの異なるパターンを通じてお話ししたいと思います。

まず、車を販売するケースを大きく分けると、点検に来ている購入を考えていないお客様と、初めて来店し、複数の車種で迷っているお客様に対して販売する2つのパターンがあります。前者は、購入の意図がないため、こちらから提案してその気にさせることが求められます。後者は、既に購入の意思はあるものの、どの車にするか決めかねているため、その選択をサポートする形になります。

今回フォーカスするのは、点検に来たお客様にきっかけを与えるアプローチです。このパターンのイメージは農作物を育てるような感覚です。車の買い替えをすぐに促すのではなく、少しずつきっかけとなる情報を伝えながら(種まき)、お客様の反応を観察します。車の営業において、お客様と直接会うのは、年間3~4回ほどが平均です。そのため、今すぐに購入してもらうことを目指すよりも、翌年、さらにはその次の年に向けてのアプローチを考えることが重要です。

このアプローチの中でよく使うのは、お客様と似た背景を持つ他の購入エピソードを紹介することです。また、時事ネタや業界の動向を織り交ぜ、軽い会話の中でお客様の興味を引き出す「ジャブ打ち」を行います。この「ジャブ」は、しつこくならない程度に軽く行い、その場での無理な提案は控えます。お客様との会話を通じて、彼らがどのような状態にいるか、どのようなタイミングで購入を考え始めるのかを見極めるのです。

例えば、長く車を乗り続けているお客様の中には、交換部品が増えてきたり、点検費用がかさむようになってくると、自然と「乗り続けること」のデメリットを感じ始める方がいます。ここで大切なのは、「買い替えを提案する」ことではなく、あくまでお客様自身にデメリットを実感してもらうように促すことです。

私自身、あまり積極的に「この機能どうですか?」や「試乗してみませんか?」といった提案はしません。購入をまだ考えていない段階で強く勧めると、お客様に「営業感」を与えすぎてしまうからです。むしろ、お客様から「そろそろ車を替えようかな?」といった言葉が自然に出てくるまで、じっくりと待ちます。

そして、そのようなタイミングが訪れたら、買い替えの具体的な話を進めていきます。時には、お客様から直接「車を替えます」と電話で宣言されてから購入いただいたケースもありました。

このアプローチは、まるで水やりのように、焦らず少しずつ行うことで、最終的にはお客様自身が「購入」という決断に至ることが多いです。芽が出て果実ができるまでまでじっくりと待ちます。果実(課題)が大きくなった時に具体的な解決策を提示します。

車の営業の面白さは、この「長期的な関係構築」と「顧客の変化を見逃さず捉える」ことにあると感じています。次回は、もう一つのパターン、初めて来店するお客様へのアプローチについて触れていきます。

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