営業を行う上で、常に意識しておきたいのは「ベクトルの向き」をお客様に合わせることです。このベクトルが営業目線に偏ってしまうと、無意識のうちに自分都合の言い回しや提案が増え、結果としてお客様が距離を置くことになります。営業活動が単なる数字や目標達成のための手段に成り下がると、お客様との信頼関係も次第に薄れていきます。そうなると、提案の数や質が落ち込み、結果的に営業活動そのものが息苦しく感じられるようになります。逆に言えば、この「ベクトルの向き」を意識して、お客様中心の営業活動を続けることで、自然と信頼関係が深まり、結果も伴ってくるのです。
特に車業界では、「即決」が重要視されることが少なくありません。お客様がその場で車を購入する決断を下すということは、営業マンとしては大きな成果に感じるでしょう。しかし、私が新人だった頃は、正直なところ「高額な買い物を即決させることは強引なのではないか?」という疑念を抱いていました。なぜなら、車はお客様にとって大きな買い物であり、慎重に時間をかけて決断するべきだと思っていたからです。
しかし、実際に何度も即決で購入していただいた経験を積む中で、次第にその考えが変わってきました。あるお客様が即決で車を購入された後、「家に帰ってから家族で『次の週末にどこへドライブに行こうか?』とワクワクしながら話し合いました」と話してくれたのです。このエピソードは、私にとって大きな気づきとなりました。もしそのお客様が即決せずに迷っていたら、その夜の家族の会話は「車を買うべきかどうか」という悩みの話題で終わっていたでしょう。しかし、即決することで、家族の会話が未来に向かって進み、より楽しい時間を過ごしていただけたのです。
この経験を通じて学んだのは、即決という選択が必ずしも営業マンの都合だけでなく、お客様にとっても大きな価値をもたらすということです。即決によってお客様は次のステップへ進み、新たな生活の一部として商品を楽しむ時間が早く訪れるのです。車という商品は、単なる移動手段ではなく、家族や友人との時間を豊かにするものでもあります。ですから、即決での購入は、結果的にお客様に新しい価値と喜びを提供する手段とも言えます。
もちろん、慎重に時間をかけて考えることも時には大切です。しかし、その「悩みの時間」をポジティブな選択に変え、少しでもお客様の不安を軽減し、明るい未来へ導くことが営業の真の使命です。お客様が抱える疑念や迷いを解消し、前向きな決断をサポートすることで、信頼関係をさらに強固なものにすることができるのです。
営業という仕事は、提案の仕方ひとつで大きく結果が変わるものです。どんな提案にも「表」と「裏」があり、一見営業側のメリットが強調されているように見えても、実はお客様にとっても重要なメリットが隠れている場合があります。私たち営業マンの役割は、その隠れたメリットを丁寧に伝え、納得してもらうことです。たとえば、新しい車を提案する際、その車がどのようにお客様の生活をより豊かにし、どんな未来を提供できるのかを具体的に伝えることが大切です。
お客様にとってWIN-WINの提案を行うためには、まず「お客様に向けたベクトル」を合わせることが不可欠です。お客様の立場に立ち、彼らが本当に求めているものを理解し、双方が納得できる最良の選択肢を提示する。それができれば、単なる営業活動に留まらず、お客様との信頼関係が深まり、長期的な関係を築くことができます。
最後に、営業活動において常に意識しておきたいのは、「お客様に向けるベクトル」です。お客様の利益を第一に考え、そのベクトルを合わせ続けることで、自然と成功への道が開けていくのです。寄り添いすぎてしまうとお客様自身に悩みが生まれてしまい、決断ができなくなってしまうケースはたくさんあります。悩みを早く消すのが営業マンの仕事です。営業の本質を見失わないためにも、常にこの視点を持ち続けることが重要です。
コメント